恐怖のジャズ・セッション3
初めてのジャズ・セッションでNow`s The Timeを弾いた。
ブルースの尺は大体分かっていたので、ペンタで乗り切った。
思ったより何とかなるかなと、思った。
もう1曲続けてどうぞと言われたので、割と練習してきた「枯葉」
お願いしまーす。
ところがこういう単調な曲は初心者向きではあるけれど、意外な落とし穴があったのだ。
平メロとサビのコードが結構似ている。
途中から、僕は自分でも信じられないほど、今、曲のどこをやっているのか全く分からなくなった。
コーラス最後のⅡ-Ⅴの連続も聞き取れないほど真っ白になり、ベースの人が漸く助け舟を出してくれるまで、いわゆるデタラメを弾き続けた。
終わってすぐ、一緒にプレーしていた客のもう1人のギターが
「ちゃんとやろうよ!」と言った。
音楽の事で揉めたくなかったし、「すいません」ってあやまって、席に戻ってふと見ると、その人はおもむろにギターをケースにしまって帰ってしまったのだ。
な、なんとマジ?
お金払ってるのに帰っちゃうわけ?
でも、その時はホストバンドの人たちが皆で、かばってくれた。
あの人は、へんな人だから気にするんじゃないって。
僕が帰る時には、ぜひまた来てください。待ってます。
と言われて、ちょっと元気が出て、このままでは悔しいので翌月また行った。
でも翌月、さっそく僕はあまり歓迎されていない雰囲気を感じた。
思い当たるのは2点。
- 出待ちの時ずっとイヤホンをしていた。
- タッピングという亜流が好感をもたれない。
ギターはとても小さなヘッドホンアンプがあるので、待ち時間はそれに繋いで、皆の演奏に合わせて練習をすると効果的だと思ったのだ。
こういうのはエレキだけの特権だと思った。
しかし、しばらくしてドラムのお客に後頭部を殴られた。
「ここで内職をするな!皆の演奏を聴け!」
「あ、すいません。」
また、あやまった。
これは本当に真実。名前も覚えている。
僕が悪いとは思う。
ステージの演奏を無視して、今ここで個人練習しているように見えるし。
でも殴られた記憶なんて社会人になって以来無いから、今でも思い出す度呪いたくなる気持ち。
あと、ちょっと個人的偏見が入るが、ジャズの人は亜流には冷たい雰囲気がある。
タッピング?何それ?どうして普通の弾き方しないの?音楽ってみんなで楽しむものでしょ?何で左手でコード弾くの?被るじゃん(これは正しいけど)。
マイルス・カフェでも言われた。似たような事を。
どうして普通の弾き方しないの??
僕の知ってるジャズの人達は、謙虚な初心者には、子供に接するようにやさしいが、生意気な人や自信を付けはじめた人には結構意地悪をする。
迷子にさせる色んな方法がある。
きっと自分達もそうやってジャズ・セッションで、いじめられて鍛えられてきたのかもしれない。
根が野球部と同じ。(野球部失礼、例えです)。